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物が主人公

物が主人公となって、一人称の語り口で語るお話ってなかなかたくさんございますが、ささめは特にそのような設定のお話を好む傾向がございます。

ここ一か月ほどの間に読んだ御本の中でも、2つほど、なかなか良い主人公さんがおいででした。

ひとつめは、段ボールの一生を描いたお話。
工場で生まれて、はっと目が覚めるとベルトコンベアーに乗ってたくさんの兄弟たちと一緒に流れていた段ボールは、箱型に組み立てられたその瞬間「手足が組み合わさってとても気持ちがいい」と思うのです。
しかし、気持ちがいい、と思ったのはほんの一瞬、次の瞬間には「とにかくなんでもいいから中に何かを入れて欲しい」という飢餓に苛まれてしまうのでした。

段ボールの唯一の夢、心から望むものは「体中すみずみまで何かでいっぱいにぎゅうぎゅうにしてもらうこと」。
みかんを入れる箱として製造された段ボールくんは、果物屋さんに売られていきました。
店先で、中身のみかんをバラ売りにされてからっぽになり、いらなくなった箱兄弟が次々と捨てられていくのを眺めながら、幸運なことに箱買いしてくれる客と巡り合い、客の家へ引っ越します。
みかんが全部食べられてしまってからも、ゴミ入れとして中に不要物を詰められ、さらに数カ月をその家で過ごしますが、やがてゴミが始末されると今度は公園へ連れていかれ、子供が中に入って坂道を転がり滑るための乗り物としてしばらく使われることになります。

短い人生の間中、段ボールくんは「みかんでも、ゴミでも、子供でも、なんでもいいから俺を満たしてくれ」と常に恋焦がれているのでした。
やがて彼はボロボロになり、風で公園の池に飛ばされて沈み、段ボール生を終えます。
しかし、青い水の中で紙のすみずみまでずっしり重い水に浸食されて、沈みながら水面を眺め、ああ俺は死ぬんだな、と考えている最中、彼は生まれてからこのかた、かつてないほどに満たされている自分を発見するのでした。

―――今、俺の体には隅々までぎっしりと、「水が詰まっている」。

こうして至福の陶酔のうち、かれは生を閉じるのでした。



もうひとつは、横断歩道(♀)が男の家へ押しかけるお話。

横断歩道を主人公にしようとした時点で、まずその発想が「すげー」と思いますが、さらに申しますと、この横断歩道の娘には両親と兄がおります。
母は歩道、父は車道なんだそうです。兄はでっかい横断歩道。彼女はちっこい横断歩道です。

いつもバイト先の店の前の歩道を箒で丁寧に掃いてくれる大学生に恋をして、
「あたしを抱いてくれ」
と玄関のベルをぴんぽーんと鳴らして大学生の下宿に押し掛けるのでした。
扉の覗き窓から外をみた大学生は混乱します…たしかに、玄関の前に見知らぬ横断歩道が広がっていたら「えええっ」でしょうね。

横断歩道の娘は「昼は現場にもどらなくっちゃいけないけど、夜は通行量が少ないから、こうしてあなたの家に来て世話をすることができるわ」と、室内に侵入した横断歩道を見て卒倒した大学生の頭にぬれタオルをのっけながら言うのでした(濡れタオル…横断歩道ってタオルが持てるのでしょうか)

結局、「はしたない、あきらめろ!所詮横断歩道と人間は種族が違う、結ばれることはできない!」と迎えにきた兄(横断歩道)に引きずられて、横断歩道娘は大学生のもとを去っていくのでした。


ええっと、長い前ふりでしたが、何が言いたかったかと申しますと、我が家の洗濯機「洗子ちゃん」が先日他界したのでした。

もともと病弱な子で、特に腸関係の病に、いままでも数度かかったことがございます。
そのたびに治療(修理)でしのいできたのですが、数日前のある朝、彼女の直腸がもげて内容物(泡だらけの水)が自宅前の敷地に広がっていたのを見た時、
「ああ、彼女はもう駄目だ」
とささめは覚悟をいたしました。

洗子の腹を見ますと、直腸の付け根は腹の中へと続いていて、たわむれにもげた直腸を突っ込んでみたものの、
すぐにぽろりととれてしまいました。

手を合わせて拝んでから、電気屋さんに行き、手頃な新しい洗濯機を購入することにいたしました。
その間中「洗子の直腸、洗子の直腸」とぶつぶつ呟きながら出かけたので、店で店員さんに洗子が壊れた状況を説明するときにも、
「それで、直腸がとれたんです。ぽろっと」
と言ってしまい、店員さんの顔に混乱が浮かんだのを見てはっと「ホースですホースです」と言い直したりいたしました。
頭の中であんまり変な言葉を言っていると実際に口から出ますね…;反省でございます。


物だって考えたり動いたりしゃべったりできる、人格ならぬ物格があるのだと、そんな風に考えることはとても楽しく、一人暮らしの部屋の中がいろんな生き物がひしめく雑居ビルのように思えて、なんだか寂しい嬉しいささめでございました。

あ、洗濯機が来たみたい!ではでは~
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2012-11-04(Sun)
 

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非公開コメント

 

な、、なんですと?
ダンボールが・・・?横断歩道が・・・?
え・・・と、物が主人公な御本は読んだことがないですっ
どこで見つけるんですか、そのような御本!
しかしなぜ横断歩道に親族がいるんだ
ってか分離してますよね、横断歩道さんのお体って。こう、立ち上がって移動したのか
寝たままの移動なのか。ん?あの状態が既に起きている状態?
タオルを絞る手はどこなんだ、、ていうかこういう疑問がそもそもおかしい気がしてきた

あらまあ・・・洗子ちゃんのご冥福をお祈りいたします。
直腸っていわれたら誰だって引きつっちゃいますよね
ドンマイ、ささめさん!
2012-11-05 10:29 | いくぱん | URL  [ 編集 ]

 

こんばんは。

つい「洗子」でググってしまった私です。
けっこうヒットしましたが(笑)

二代目(三代目かな)洗子さんの働きぶりはいかがですか?
そういえば冷子さんも、たしかまだルーキーでしたよね。
2012-11-05 20:20 | pispofp | URL  [ 編集 ]

 

>>いくぱんさん

ややや、ささめ太郎めが読みました今回の物主人公モノはどちらも集英社の出している「幻想なんたら」という短編集でございましたよ、友よ!
残念ながら現在は絶版になっているそうでして、ささめも人様にお借りして読んだ次第でございます。

横断歩道さんはね、べりべりっとアスファルト部分をひきちぎって移動したらしいです。裏をちらっと見せてくれるのですが、アスファルトの下地の砂利がいっぱいくっついていた、という描写がございました。
そして蛇腹のように折りたたみ可能らしく、そのため狭い部屋の中にも入り込めたんだとか。うひぃ。
手は謎です…どうかんがえても…そしてさらなる疑問「どうやって男と寝るのか?」ああ、深遠な世界です。

ドンマイがドントマインドの略だとはつい最近になって知ったささめでございます。
お米の一種かと思っておりました…ドン米。ドン・アメリカって読んじゃいそう、そういえばオバマさんが再選されましたね。
関係ありませんが、チェンジ!とチャンジャ!は語感が似ていると思うんですのよ、ハニーはいかが?
2012-11-07 20:16 | ささめ | URL  [ 編集 ]

 

>>pispofpさん

びっくり仰天、慌ててささめもググりましたらば、フェイスブックに洗子さんっていう方がいて、フェイスブックだからやっぱり本名?そうなの?と青くなりました。そして大変反省しきりでございます。
全国の人間の洗子さま、御不快な記述がございましたら大変申し訳ございませんでした、深くお詫び申し上げます。

我が家のルーキー家電たちはどちらもとてもお利口さんでございます。
特に新しい洗濯機さんは衣類を放り込みますとたちどころに分量を量り「これっくらい洗剤入れてんか」と指示を出してくれるのでした。
今ってこれがデフォルトなんでしょうか…
目分量で洗剤を適当に放り込んでいた身にはまるで桃源郷のようでございます。
2012-11-07 20:22 | ささめ | URL  [ 編集 ]

ぶっ(笑) 

直腸なんて言われたらリアクション取ることできないです(笑)

段ボールのハッピーエンドとは対照的な横断報道の話の次にズバっと切り捨てられる洗濯機な展開は、ディズニー→悲恋映画→時代劇の果し合いな流れを感じました( ´艸`)くすくす
2012-11-08 21:24 | あや吉 | URL  [ 編集 ]

 

>>あや吉さん

おおお。素晴らしい流れを作ってくださってありがとうございます!というか上の記事がもうその流れにしか見えません(笑)
新しい洗濯機の直腸は、横っちょじゃなくって真ん中裏から生えているので尻尾みたいです。
前の洗濯機は大家さんが地面を履くのに邪魔だからと言って尻尾をひっぱってちぎってしまったりしたので(帰宅したらセロテープでとめてあった・笑)、こんどはひっぱられないようにしたいと思います。
2012-11-11 19:14 | ささめ | URL  [ 編集 ]

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