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文楽らくらく

文楽フェチのYさんとご一緒に文楽らくらく観賞会に行ってまいりました。
初心者向けに、有名なお話の中から名場面だけとりだした短いのを二本と、途中でお人形の動かし方や解説などをしてくれる「簡単文楽講座」がはいったらくらくパックです。

まずは、八百屋お七。
恋する吉三に会いたい一心で、街に火を付け半鐘を鳴らすという鬼気迫る場面です。
幕がにょろりと上がりますと、あらあらそこは冬でした。
真白に雪がつもった甍の群れが向こうに見えていて、中央にはどーんと半鐘を吊った櫓がたっています。
派手な町娘の衣装を着たお七が現れ、たった一人でぶつぶつと言いながら(ぶつぶつ言ってるのは太夫さんですけど)、どんどん乱れて狂って行くのでした。

まずは黒子さんが簪をひょい、とうまく抜きますと、首(かしら)使いさんがすかさず人形の頭をぶるぶる振って髪の毛をざんばらにします。
左右から黒子さんがにょろり、にょろり、と手をだしては素早く着物の上衣をはだけさし、上空からぱらぱらと落ちてくる雪の切片もさらに勢いを増して、お七の心の狂乱状態を後押しします。
半分凍った櫓の梯子にとりついて、途中で滑ってずりおちたりしながらもひたすら上へ上へと登って行くシーンは、人形遣いさんは櫓の裏側に回りまして、姿を隠したまま人形を操るのでした。いやはや、ここは圧巻。
人形がひとりで勝手に動いて自分の意志で櫓を登っているような臨場感でしたよ。

いったん幕が閉じて、文楽講座が入ります。
大真面目に人形を動かしたり謡ったり三味線を演奏したりの方々も、ひとたび舞台を離れれば吉本系のノリでいらっしゃいました。
三味線の打ち方にしても、女の人形が登場するときは走り方から裾の裁き方まで三味線一本で表現するため、音色を「女っぽい色」に変えるんだそうです。
高貴な女性だと裾が長いので、三味線の音もそんなにパタパタ急いで打ちません。逆に腰元など、裾の短い衣装を着ている人形の場合は、身動きが素早いので、三味線もパッタパッタと軽やかなんだそうでございます。

ためしに、と弾いてくださったのは「ブータン王妃(非常に高貴な女性)がどういうわけだか国王様とはぐれてしまって、こくおう~こくおう~と探し求める」シーン。

♪ぶーたん~こくおう~さま~、あれ、いずこに~

たぶん、これからテレビでブータン国王・王妃様をお見かけするたびにあのメロディを思い出すと思います。ううん、こびりついてとれてくれない…

第二幕は、菅原伝授手習鑑。

武士の義理人情と親子の人情がせめぎ合う、現代人にとっては非常に違和感のある内容ながら、太夫さんの謡いがすごく御上手なために、不肖ささめ、号泣いたしました。いやはや目の周りのアイライナーがすっかり消えてしまいました。
お仕えしている主が讒言によって地方へ流されてしまったのだけれど、その御子息を自分の子供として預かり匿っている御夫婦の寺子屋が舞台。
追手の手がこの寺子屋にも伸び、あずかっている御子息の首をちょん切って差し出せ、と言われるんですが、こまった御夫婦はなんと、その日寺子屋に入ったばかりの別の子供の首を身代わりにちょん切って差し出すのでした。

ドキドキハラハラの首実験をクリアして、なんとか胸を撫で下ろした御夫婦の前にぬっと現れたのは、首をちょん切られた子供の母親と、そしてどういうわけだか、さっきの首実験役の武士。
なんと、その母親と首実験武士は御夫婦で、身代わりとして首をちょん切ったのはこの御夫婦の子供さんだったのでした。
首実験役の武士さんはもともとは讒言によって流された主にお仕えしていた武士だった、
主に忠義を示そうと、あらかじめ自分の子供を身代わりにして殺すために寺子屋へ送り込んでいた、という衝撃の事実が発覚。
「息子はお役に立ったぞ!」とよよと泣き崩れる御夫婦…
いやいやいやいや、なんかおかしいよ、君たち…!

なんだかなぁ、うーんうーんと首をひねりながらもごうごう泣いて、泣いているうちに幕が降りました。
ううむ。忠義もヘッタクレもくそくらえでございますとも。子供は大人の道具ではございませんキィキィ。


無表情の人形が顔をちょっと上向けたり下向けたり、手の指先の些細な動き、体の微妙な仕草などによってとたんに生き生きと動き出す不思議さに魅了された数時間でございました。
生身の人間がお芝居としてやるよりも、ワンクッション無生物を間に挟むだけに、より感情やテーマが純化されるような気がいたします。とてもピュアな結晶部分を取り出したり受け取ったりして楽しむ、高尚な舞台芸術であるなと思いました。

(いやしかし、二つ目の演目は違和感あったわ…泣いたけどさ…)
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2012-06-10(Sun)
 

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